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映画紹介『明日は咲こう花咲こう』

吉永小百合主演の1965年の映画。主人公ひろ子は保健婦として長野県の山村に向かう。今の名称は「保健師」ですが、病気予防・健康増進など公衆衛生活動を行う地域看護の専門家だ。「都会育ちのひろ子に僻地の保健婦は無理」と恋人に言われ、「そんなことない」と啖呵(たんか)を切る。
 村には井戸もなく川の水を飲料と炊事・洗濯で共同使用、子どもの発熱には新興宗教のお札を食べさせる頑迷固陋の村民たち。さらには隣村との合併を進める合併派と、村長が率いる観光派で村民は対立、新興宗教の教祖は信者を増やそうと合併派に与している。

 ひろ子は、川の水の使用を用途別に上流から下流の順に洗い場を決めるなど、熱心に保健婦の仕事に従事する。しかし、ひろ子をよく思わない合併派は、貧しい村人の出産で、助産婦を呼ぶ金がなく、ひろ子が呼ばれたことを法律違反だと訴えを起こす。ある時は、産児制限の村内講習会に興味本位の村の男たちが大勢集まり、ひろ子をからかう。

 そんな中、高熱・下痢の子どもたちが次々と運ばれてくる。村で赤痢が発生したのだ。村長や教祖らは「赤痢じゃない。これは大腸カタルだ」と言い逃れ。あげく、村の電話線を切り救援要請を妨害。一計を案じたひろ子は「赤痢じゃない。大腸カタルだ」と村民の不安を抑え、村長の息子にバイクで救援を呼びに行かせ村民たちの治療に従事する。薬が尽き緊張が高まる中で救援部隊が到着。初めて村民たちはひろ子の献身に気づく。

 1時間29分で短めの映画だがよくできている。喜劇調だが結構深い。現在のコロナ問題と重ねて観た。

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