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労働者個人で申請できる休業補償給付制度を新設

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響に対応するため法律や制度がどんどん変更されています。いくつか紹介します(最新情報は厚生労働省のウェブサイトなどを参照してください)。

新型コロナ感染症対策休業支援金

 事業所を介さず、労働者個人を対象とする新たな給付制度(新型コロナウイルス感染症対策休業支援金)が6月12日に可決・成立しました。
 この制度は、新型コロナウイルス感染症などの影響で事業主によって休業させられている期間の全部または一部について、賃金(休業手当)を受けることのできない労働者に対し、休業前賃金の80%(月額上限33万円)を休業実績に応じて支給するものです。
 新型コロナの影響で仕事が休みとなったにも関わらず、会社から賃金の支払いを受けることができなかった労働者に直接、支援金を国が補償する制度となります。したがって会社からの申請ではなく、労働者が自分で申請する必要があります。
 雇用保険被保険者でないパートやアルバイトでも受給は可能です。この場合、名称が支援金ではなく「給付金」となる以外は同じ内容となります。対象となるのは中小企業に雇用される労働者で、大企業は対象外。2020年4月1日以降の休業期間から適用されます。
 対象となる中小企業とは、飲食店なども含む小売業は従業員50人以下あるいは資本金5000万円以下となります。サービス業は従業員100人以下か資本金5000万円以下。その他の事業で従業員300人以下か資本金3億円以下の企業が対象となります。
 休業補償については、雇用調整助成金がありますが、今回の休業支援金制度の創設に合わせて、緊急対応期間中(4月1日~9月30日)は、中小企業で雇用を維持する場合の助成率は100%に、日額上限も1万5000円(月額上限は33万円)へと見直しとなりました。
 しかし、雇用調整助成金を申請しない企業は非常に多いのが現状です。その理由として「(助成があっても)休業手当を支払う資金がない」「制度が頻繁に改正されており内容が理解できない」「労働局やハローワークの相談窓口と電話がつながらない」などが指摘されています。
 解雇や雇い止めに対して団体交渉などで雇用調整助成金の申請を求めることが基本ですが、今後個人申請という方法もできたことは知っておく必要があります。具体的な要件や申請方法などの制度詳細は今後公表される予定です。

医療従事者等のコロナ感染は原則労災

 厚生労働省は4月28日、新型コロナウイルス感染症に感染した医療従事者等(医師、看護師、介護従事者等)について、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災補償の対象とする方針を都道府県労働局に通達しました。当分の間は、調査により感染経路が特定されなくても対象となります。
 医療従事者等以外の労働者でも、感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合は同様に対象となります。感染経路が判明しない場合でも請求人(感染した労働者)を含め2人以上の感染が確認された環境下での業務や、顧客等との近接や接触の機会が多い環境下での業務など、感染リスクが相対的に高い業務に従事していた労働者は個別に判断されます。

精神障害の労災認定基準にパワハラ新設

 さらに厚生労働省は、心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改定。職場のパワハラの防止対策が2020年6月から法制化されたことを踏まえ、心理的負荷評価表の出来事類型に「パワーハラスメント」を新設し、その具体的出来事として「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワハラを受けた」を設ける。平均的な心理的負荷の強度は、最も高い「Ⅲ」とした。
 また、これまでの「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」は、優越性のない同僚間の暴行や嫌がらせ、いじめなどをパワハラに該当しない事案を評価する類型として、名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ、嫌がらせを受けた」と変更。平均的な心理的負荷の強度は同じく「Ⅲ」とした。

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